院長・事務長向け 初心者ガイド

集患ダッシュボードは、医院の「集患の健康診断表」です。

この資料は、Google AnalyticsやLooker Studioに慣れていない方が、毎月どこを見て、何を判断し、どんな対策を考えればよいかを理解するための説明書です。難しい分析用語よりも、医院運営で使える見方を優先しています。

何が分かるか HP、予約、電話、Chatwork月次報告を月別に並べ、集患の状態を見ます。
どう触るか 基本はLooker Studioを見るだけ。詳しく確認したい時だけスプレッドシートを開きます。
何を判断するか 数字の増減から「HP導線」「広告」「電話対応」「イベント計測」の改善候補を決めます。

まず見る場所は2つだけです。

普段はLooker Studioで全体を見ます。数字の元を確認したい時だけGoogleスプレッドシートを見ます。Apps Scriptは基本的に管理者・実装者が触る場所です。

迷ったら、まずLooker Studioを開いて「対象月」と「予約完了数」を見ます。
GA4 HPのアクセス・予約完了・電話タップ Chatwork 月次新患報告だけを取り込み Googleスプレッドシート Monthly_Dataに月別で蓄積 Source_Logに実行結果を記録 Looker Studio 院長・事務長が見る画面 月次会議の判断材料

操作は「見る」「更新を待つ」「異常時だけ確認する」の3段階です。

毎日すべてを分析する必要はありません。普段は速報値を眺め、月1回だけ前月の結果を振り返ります。

数字を消したり、列名を変更したりしないでください。Looker Studioとの接続が外れる原因になります。
Looker Studioを開く

朝または週初めにレポートを開きます。表示される表で、今月の行を見ます。

今月の「予約完了数」と「電話タップ数」を見る

予約完了は、予約完了ボタンを押した人です。実際に通院する人は目安として約2割と考えます。

GA4セッション数と比べる

アクセスがあるのに予約完了が少ない場合は、HPの導線、予約ページ、電話導線に改善余地があります。

毎月2日以降に前月分を確認する

GA4の前月データは自動で更新されます。月初すぐはデータ反映が遅れることがあるため、2日以降に見ます。

Chatwork月次新患報告の数字を見る

新患総数、HP経由、矯正、インプラントをMonthly_Dataに反映します。患者名などの個人情報は入れません。

前月と今月、または前々月と比べる

単月だけで良し悪しを決めず、少なくとも2か月以上の流れで見ます。増えた理由、減った理由をメモします。

スプレッドシートのSource_Logを見る

Source_LogにERRORがあれば、どの処理で止まったかが分かります。トークンや個人情報は表示されない設計です。

Monthly_Dataの行が増えているか見る

Lookerに出ない時でも、Monthly_Dataに数字が入っていればデータ自体は保存されています。

実装者に伝える時は「Source_Logの行番号」と「起きた日時」を伝える

「何か変」よりも、「Source_Logの何行目にERROR」「5月分だけ0」まで伝えると、復旧が早くなります。

数字は「集客」「行動」「実新患」の3つに分けて見ます。

すべての数字を同時に追うと混乱します。まずは、HPに来た人、予約・電話した人、実際の新患数の順で見ます。

重要なのは、数字の大小ではなく「どこで落ちているか」です。
HPを見に来た量 GA4

セッション数、ユーザー数、自然検索セッション数、広告セッション数を見ます。

行動した量 CV

予約完了数、電話タップ数を見ます。実来院とは別の数字です。

医院の実績 新患

Chatwork月次報告から、新患総数、HP経由、矯正、インプラントを見ます。

費用対効果 CPA

広告費が入ると、1件の予約やHP経由新患にかかった費用を見られます。

項目 初心者向けの意味 増えた時の見方 減った時の見方
GA4セッション数 HPを見に来た回数です。同じ人が複数回来ると複数回になります。 露出や検索流入が増えている可能性があります。 SEO、広告、サイト表示、計測タグの問題を確認します。
予約完了数 予約完了ボタンを押した人数に近い数字です。実来院ではありません。 予約導線が機能している可能性があります。実来院は約2割目安で見ます。 予約フォーム、CTA、料金・診療内容の見せ方を確認します。
電話タップ数 スマホなどで電話ボタンを押した回数です。 電話相談ニーズが高い状態です。受付体制や折返しを確認します。 電話ボタンの位置、診療時間表示、電話リンクの不具合を確認します。
自然検索セッション数 Google検索など、広告以外から来たアクセスです。 SEOや地域名検索で見つかりやすくなっている可能性があります。 検索順位、Googleビジネスプロフィール、ページ内容の鮮度を見ます。
広告セッション数 広告経由でHPに来たアクセスです。 広告配信が増えています。予約完了も増えているか確認します。 広告停止、予算不足、配信設定、審査落ちを確認します。
HP経由新患数 実際の新患のうち、HPがきっかけだった人数です。 集患として最も分かりやすい成果です。何が効いたかメモします。 HP導線、広告、検索流入、受付時の聞き取り方法を確認します。

数字が動いた時は、次のように判断します。

ダッシュボードの目的は「眺めること」ではなく、次の一手を決めることです。下の例は、院長・事務長が月次会議で使える判断パターンです。

1つの数字だけで決めず、アクセス、予約、電話、実新患をつなげて見ます。
アクセス多い / 予約少ない

HPは見られているが、予約に進めていない可能性があります。

  • 料金、治療期間、初診相談の不安が残っていないか確認します。
  • 予約ボタンがスマホで見つけやすいか確認します。
  • 矯正・インプラントなど、目的別ページから予約までの導線を確認します。

想定される対策

  • ファーストビューに予約ボタンを増やす。
  • よくある不安をページ上部に置く。
  • 予約フォームの入力項目を減らせないか確認する。
予約完了が増えた

予約見込みは増えています。ただし実来院とは別です。

  • 予約完了数の約2割を実来院の目安として見ます。
  • 予約後キャンセル、無断キャンセル、来院率も別途確認します。

想定される対策

  • 予約後のリマインドを強化する。
  • 初診前の不安を減らす案内を送る。
  • 通院につながった予約経路をメモする。
電話タップが多い

電話で確認したい人が多い状態です。

  • 受付で電話を取り切れているか確認します。
  • 電話内容が「料金」「予約」「場所」「治療内容」のどれかを記録します。

想定される対策

  • よくある質問をHPに追加する。
  • 電話が集中する時間帯の受付体制を見直す。
  • 電話から予約への誘導トークを統一する。
広告流入が増えた / 新患が増えない

広告費が使われているが、成果に変わっていない可能性があります。

  • 広告セッション数だけでなく、予約完了数とHP経由新患数を一緒に見ます。
  • クリックは多いが予約が少ない場合、広告文とページ内容がずれている可能性があります。

想定される対策

  • 広告キーワードを見直す。
  • 広告先ページを矯正・インプラントなど目的別に分ける。
  • 広告費とCPAを入力し、採算を判断する。
自然検索が下がった

検索から見つけてもらう力が落ちている可能性があります。

  • 前月比で20%以上下がったら、要確認です。
  • 今月途中の数字は月末まで待たないと単純比較できません。

想定される対策

  • Googleビジネスプロフィールの更新を確認する。
  • 矯正・インプラントの主要ページを更新する。
  • 地域名や診療名で検索順位を確認する。
Source_LogにERROR

データ取得や外部API連携が止まった可能性があります。

  • ERRORの行を見て、sourceがGA4かChatworkかを確認します。
  • Chatworkの401は、トークン・ルームID・閲覧権限の問題が多いです。

想定される対策

  • 実装者へSource_Logの行番号と日時を伝える。
  • APIトークンを再発行した場合はScript Propertiesに入れる。
  • 患者名や個人情報をエラー報告に含めない。

月次会議では、この順番で30分だけ見ます。

会議の目的は、細かい分析ではなく「来月やることを1つから3つ決めること」です。

毎月2日以降、前月分が入ってから見るのがおすすめです。

前月の全体感を見る

新患総数、HP経由新患数、予約完了数、電話タップ数、GA4セッション数を見ます。増減だけを確認します。

どこで落ちているかを見る

アクセスはあるか、予約はあるか、実新患につながっているかを順番に見ます。

原因の仮説を1つから3つ出す

例: 予約フォームが分かりにくい、広告の流入先が合っていない、電話対応時間に取りこぼしがある、など。

来月の行動を決める

「誰が」「いつまでに」「何をするか」を決めます。大きな施策より、小さく確実に実行できる施策を優先します。

会議で決めること

HP改善

予約ボタン、電話ボタン、よくある質問、診療別ページ、症例・説明文を改善します。

会議で決めること

広告改善

広告費、クリック、広告CV、予約完了、HP経由新患を見て、広告の継続・調整を決めます。

会議で決めること

受付改善

電話から予約につながっているか、予約後の来院率を上げる案内ができているかを確認します。

運用ルールは、触ってよい場所と触らない場所を分けます。

この仕組みは自動で動く部分があるため、列名やシート名を変えると壊れます。院内運用では安全な範囲だけ触るようにします。

APIトークンはコード、Chatwork本文、メモ欄、メール本文に貼らないでください。

触ってよい場所

  • Looker Studioの表示、期間確認、表の閲覧
  • Monthly_Dataのメモ欄
  • Monthly_DataのGoogle広告費、クリック数、広告CV数
  • Chatworkの月次新患報告。ただし個人名は入れない
  • Source_Logの確認

触らない方がよい場所

  • シート名、列名、1行目の見出し
  • Apps Scriptのコード
  • Script Propertiesのトークン類
  • GA4イベント名設定。ただし実装者と確認して変更する場合は可
  • Looker Studioのデータソース設定

個人情報は扱わない

この仕組みは患者名、電話番号、メールアドレスを集計しない前提です。Chatwork報告も月次集計だけにします。

0件はエラーではない

イベントや期間によっては0件になります。Source_LogにERRORがなければ正常な0件の可能性があります。

今月途中は速報値

月の途中の数字は、前月1か月分と単純比較しません。月末時点の着地見込みとして見ます。